猫の口腔内病変

猫ちゃんのお口の中には、時として厄介な病気が出ることがあります。

よくある病気としては、いわゆる口内炎です。

症状としては、歯茎や口の奥の方の粘膜が赤くなったり、肉芽のように盛り上がったりします。

さらに口の中の痛みで突然奇声を上げたりといった症状が出ることもあり、この頃にはお口を触られるのも嫌がります。

ひどくなると食欲不振で体重が減ったり、グルーミングしなくなるので毛艶が悪くなったりもします。

 原因は明らかではありませんが、口腔内細菌、ウイルス、免疫異常などが考えられています。

 

その他には口腔内の腫瘍があり、その中でも扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)が7割以上を占めると言われております。

扁平上皮癌は、お口の至る所にできるのですが、最初は「口内炎?」と思わせるような外観のことが多く、発症初期のうちに診断することが難しい場合もあります。

*写真は、見た目が歯肉炎のようでしたが、病理検査にて扁平上皮癌と診断されました。

 

そして何より厄介なのが、放射線や化学療法に反応が乏しいため、外科手術以外の有効な方法が残念ながら選択しづらいことです。

しかも猫は手術によって食べることに対して影響が出やすいと言われているため、手術を行う場合も慎重な計画が必要です。

 

お口の中は普段なかなか見ないのが現状だと思いますが、早期発見のためにも歯磨きをはじめとする口腔衛生に関心を持っていただければと思います。

 

山瀬 新悟(Shingo YAMASE)

2023.01.10改定