ジアルジア症

子犬を新たにご家族として迎えることは本当に嬉しいものですね。

と同時に、体調のことで一喜一憂することも多いかと思います。

特に、「食欲の有無」や「下痢・嘔吐」は、体調を崩す大きな要因となるため、これらの症状はことさら心配ですね。

 

最近は、子犬の時期の伝染病ワクチン接種がきちんとされるようになってきたため、「伝染病」による下痢嘔吐のトラブルは少なくなっています。

しかし、依然として多いのが「ジアルジア症」です。

ジアルジア症は、人獣共通の消化管内寄生虫です。(つまり人にもうつる恐れがある寄生虫)

肉眼では確認できないような大変小さいランブル鞭毛虫という原虫が原因となります。

感染は、ランブル鞭毛虫が直接口の中に入ることにより成立します。

ジアルジア症に感染すると、子犬の場合は数日以内に水っぽい、または粘り気のある下痢をするようになります。「いいウンチ」と「柔らかいウンチ」を日によって交互に繰り返す場合もあります。

そのため、ついつい「治ったのかな?それとも子犬ってこんなものかな?)と様子をみてしまいがちです。

結果、体重が落ち発育不良の原因となります。

対して、成犬の多くの場合は感染しても特に症状が現れません。

 

では、いったいどこで感染するの?ということですが、当院を受診され、ジアルジアを確認したワンちゃんのほとんどが、ペットショップさんで購入した子ということから、ショップまでの流通ルートのどこかで、感染してしまっていると考えられます。

もちろんショップさんでの健康診断において、検便も当然チェック項目に含まれているとは思うのですが、顕微鏡でのジアジルア検出率が決して良いとは言えないため、検査をすり抜けてしまうのでしょう。

 

最近では「ジアルジア検査キット」が発売されており、顕微鏡で見つからなくてもキットを用いることでかなり正確に調べることができるので、当院では検査キットを利用して調べるようにしています。

当院での検査費用は1検体3793円(税別)。

検査は、治療前と治療後で最低2回は調べる必要があります。

 

治療についても、きちんと認可された専用の薬がないので、治療の確実性に欠けるところがあり、繰り返し投薬が必要になることもしばしばです。

住環境が汚染されている場合は熱湯消毒などが必要で、多頭飼いの場合は特に治療には時間を要します。

 

このような厄介なジアルジアですので、子犬を迎えたら、その子が「いいウンチ」をしていても、できれば検査キットを用いて検便していただくことをお勧めします。

 

山瀬 新悟(Singo YAMASE)

2023.01.10改定